こんにちは。管理栄養士のカワベヨシミです。
本日もお越しいただきありがとうございます。

私は、これまで味噌汁について(あるいは出汁について)様々な本や先生方に学んできました。
味噌汁(出汁)の底力は、まだまだ解明されない部分も多いようですが、
それでも栄養という面で多くの期待がもてること、
私の子育て実体験の中でも、しっくりきて、細く長く続けてこられたことから
”子育てのお供に味噌汁を”
が私の考えとなりました。
私が料理を本格的に始めたのは結婚してから。
最初に出会ったのが辰巳芳子先生の本でした。
『あなたのために』
というタイトルも表紙のデザインも素敵な本です。⇩

この本の書き出しは、
スープに託す
から始まります。
あらゆる理論を超えて、
「一口吸ってほっとする」
滋養欠乏の限界状態で摂れば、
一瞬にして総身にしみわたるかに感じられる。(一部中略)
スープについて、これ以上の説明をしなくても
この数行だけで、出汁の底力を感じることができます。
また、料理法として今の私の土台となっているのは
東城百合子先生の自然療法の考えをもとにした
「あなたと健康社」の料理教室で教わったやり方です。
この教室には毎週休みの日を使って、2年近くかけて通いました。
毎週毎週、教室で煮干しから出汁をとり、味噌汁をはじめとする様々な料理を教わりました。
料理の基本を教わり、舌で覚え、自信になったと思います。
教室で教わる料理は、丁寧ですがとてもシンプルです。
そして生活に根ざしていて、野菜の皮や根も調理していただきます。
同じ釜の飯を食した同期の仲間は、卒業後も交流は続いています。

そして、特に大きな出会いだったと感じるのは
長崎県の聖フランシスコ病院で医業に従事された秋月辰一郎先生の本、
「体質と食物」です。
ご自身の体験に加え、医師としての医学的・栄養学的考察も挙げられており、
この本の結論では、
体質は生まれた時に受け継いだものと
我々が日々創っているものとがある。
この作るものは、環境であり、食物である。
(中略)
今、味噌汁にたどり着いた。
と記されています。
現在私は、出汁の教室は行なっておりませんが、
赤ちゃん歯科教室などにご参加くださる保護者の方々に味噌汁をふるまったり
レシピをお渡ししたりしています。
栄養相談では、どんな年代のお子さんにも味噌汁をお勧めすることが多いです。
出汁は、人間が必要とするミネラル成分がバランスよく含まれ
栄養を支えてくれます。
また、口腔発達においても期待できることがあります。
それは、離乳期からの上顎の成長(広がり)が
今後の歯並びや噛み合わせに重要なのですが、
その成長は舌運動による口腔内からの圧が大きく影響してます。
(呼吸なども影響し、それだけではありません。)
厚生労働省の離乳支援ガイドでは
離乳中期になると舌が上下に動くようになり、
上顎と、舌でつぶれる食材(絹どうふくらいのかたさ)を与えましょうとされています。
この運動が上顎の成長発達にとても大切で、
丁寧に離乳食中期を進めていただきたいのですが、
舌と上顎で押しつぶす(味わう)運動を促しやすいのが
”うま味”
とされています。
味覚についてもまだまだ解明されていないことが多いようですが、
乳児には、舌だけでなく、上顎にも味を感じる味蕾があるとも言われていて、
出汁に含まれる”うま味”を舌と上顎で味わうことが
舌の上下運動を促しやすい、と期待が持てるわけです。
興味深いのは、
お母さんの羊水と昆布だしは
味が似ている、だそうです。
赤ちゃんにとって”うま味”は
馴染み深く、味わい深いのではないでしょうか。
”子育てのお供に味噌汁(出汁)を”
伝え続けたいと思います。