こんにちは。管理栄養士のカワベヨシミです。
本日もお越しいただきありがとうございます。
令和7年度から日本人の食事摂取基準(2025年版)が適用となります。
それに伴い、県の保健福祉事務所による
特定給食施設栄養管理講習会がオンライン上で開催されており
私は保育園で非常勤として勤務しているため、案内をいただき拝聴しました。
栄養学は、考え方に違いはあれど、
世界的に日々更新、進化していると感じます。
講習会は、
『食事摂取基準とは何でしょう?』
という先生の問いかけから始まりました。
一瞬考えましたが、私はすぐにまとめられませんでした。
先生の言葉をお借りすると
『何をどれだけ食べれば良いかを示したガイドライン』
でした。
また、基準に沿って『何のために食べる?』
の問いかけの答えは
『健康寿命の延伸のため』
でした。
食事摂取基準は厚生労働省の管轄のため、毎回の改定(現時点では5年毎)により
学校給食の基準も変わり、影響が出てくるそうです。
今回の改訂のポイントは大まかにまとめると3つありました。
①骨粗鬆症の記述
②炭水化物の記載内容
③ビタミンの策定方法の再検討
です。
講習会開催の目的は、
現場で改定後の食事摂取基準を効果的に活用していくことであっただろうと思いますが、
私はもう一つ、
講師の先生が、今回の改定にいたる経緯や背景について
言及してくださっていた内容にとても興味を持ちました。
例えばの一つが、
推定平均必要量の部分で新しい記述があり、
栄養素の不足と欠乏の定義がきちんとされていることです。
『欠乏』とは、
当該栄養素の体内量が必要量を下回ることを要因として不可避の病態が現れる状態
『不足』とは、
当該栄養素の摂取量が必要量を下回ることを要因としてある病態のリスクが生じる状態
わかりやすい例で言うと、
“ビタミンB1が欠乏すると脚気になるが、現在は脚気になる人はほとんどいない。
しかしその手前の人たちはたくさんいる。それは欠乏ではなく不足の状態であろう。”
という考え方です。
それをどうやって見つけていくのか?
という部分が今回は特にビタミンで検討が進められたそうです。
そのことについての記述が以下のとおりです。
最近では、個々の要素の摂取量や生体内での当該栄養素の機能状態などを示す生態指標(血液中や尿中で測定される物質等。バイオマーカーとも呼ばれる。)が複数使用可能となっており、各栄養素の摂取量の変動や生理機能に特異的な生態指標に基づいた推定平均必要量の見直しも行った。
つまり、幾つかのビタミンがバイオマーカーを使って設定されたということでした。
また、歯科にとっては興味深い糖類への着目も大きかったそうです。
”う歯については、55の研究をまとめたシステマティック・レビュー及び23の研究をまとめたシステマティック・レビューにおいて糖類摂取量が多いこととの関連が指摘されている。”
とのことから、フリーシュガーやアデッドシュガーについても検討され、
今回の改訂では見送りとなったそうですが、
今後、それらの数字設定もあり得るといった見解でした。
鉄についても、
経口の食事による摂取量だけで、
健康被害を有することは考えられないとして耐容上限量は撤廃になっています。
(しかし、海外製の鉄サプリにおいては注意喚起がありました)
講習を受けての所感は、
バイオマーカーの使用や、欠乏と不足の定義がきちんと記述されたことなどから
今まで以上に栄養学が、より対象者(個人)に着目していく流れが大きくなっていると感じました。
これは、オーソモレキュラー栄養学の概念と通じることだと感じました。