こんにちは。管理栄養士のカワベヨシミです。
本日もお越しいただきありがとうございます。
当院では、むし歯治療の一環として
お子さんの日頃の食事や、おやつの摂取状況を確認するための
保護者の方にむけた”食事指導”という時間を設けており、
これを管理栄養士が担っています。
保護者の方の中には、
歯科で食事指導を受けることについて本意でない方もいらっしゃいますし、
食べることはとてもプライベートなことにも関わらず、
家庭の食事のことをお話しくださっている保護者の方に対して
”食事指導”という言葉は不適切に感じていて
もう少し良い名称があればいいなと思いますが、
端的でわかりやすい表現が他に見つけられず、未だに”食事指導”と呼んでいます。
食事指導では、3日分の食事記録を持参していただいています。
子育てや仕事で多忙な中、記録していただいているので、
まず、ご協力に対して感謝の気持ちをお伝えします。
私が食事指導を始めたばかりの頃は、
教科書の内容のような、むし歯予防のスライドを用意して
最初から最後までただ読み上げていくことしかできませんでしたが、
最近は食事記録をもとに
より個人的な相談の時間となるよう心がけています。
食事記録があるのとないのとでは、指導の内容が全く変わると感じます。
もう一つ心がけていることは、必ず最初に
「少し、日頃のお子さんのご様子を伺ってもいいですか?
食事・おやつについてや、好き嫌いなど、困っていたり心配なことはないですか?」
と保護者の方に伺い、話していただくことから始めるということです。
そうすると保護者の方は、力が抜けて笑顔がでたり
何かしら考えて答えてくださることが多く
食事記録だけでは見えてこないお子さんの様子や、
保護者の方の本当の主訴や悩みが見えてきたりします。
保護者の方の話された内容を大事に、その内容に触れつつ話を進めています。
さて、食事記録の何をみていくかですが、
1、砂糖の摂取内容(お菓子やジュース)
2、飲食回数
3、朝ごはんの摂取状況と内容
4、タンパク質の摂取状況
5、起床・就寝時刻
は必ず確認し、話題にします。
上記の内容の確認により、
まずは、むし歯のリスクについて話を進めます。
カリオロジーの考えに基づき、
なぜむし歯ができるのかをスライドを用いて一緒に確認し、
お菓子による砂糖の摂取状況、飲料の酸性度、飲食回数などが
むし歯リスクと関係があることを理解していただきます。
実際ここまでの内容は、どちらかというと歯科衛生士さんの専門分野で
多くの歯科医院で確立され、すでに取り組まれていることと思います。
私たち歯科に所属する管理栄養士は、
始まりはむし歯かもしれませんが、
その背景にある
・丈夫な歯や骨をつくる栄養素は摂取できているのか
・甘いものがやめられないという根本的な栄養の問題
・砂糖(糖質)摂取による血糖値への影響
・血糖の乱れが招く自律神経、ホルモン、メンタルの乱れ
といった身体の中で起きている(起きる)ことを想像し、
栄養による予防医療を提案していくことを求められていると思います。
食事指導は、知識の押し付けであってはならないけれど、
患者さんに信頼されることに、引け目を感じない自信と強さも必要です。
私にとっては、オーソモレキュラーの分子栄養学で学んだ
身体はなぜそうなるのか?
という栄養と身体の症状の機序まで理解することが、自信へとつながりました。
当院の食事指導は
1回で終了する場合もあり、継続支援をする場合もあり、
食事記録3日分の栄養価計算まで行うこともあり、様々です。
(栄養価計算は、多くの保護者の方が興味を持ってくださいます)
食事指導で感じることは、
保護者の方々は栄養に興味を持っているけれど、
知る術がなかったり、情報の選択に迷っているということです。
子どもの栄養に困っている、心配している保護者の方々が
想像しているより多くいらっしゃいます。
各論、また綴っていきます。