こんにちは。管理栄養士のカワベヨシミです。
本日もお越しいただきありがとうございます。
離乳期栄養相談でご来院いただく保護者の方々は、
”離乳食の進め方が不安”というような専門家へ情報を求めていらっしゃる場合や
”遊びたべ、ムラ食い、好き嫌い、丸のみ、噛まない噛めない、詰め込む、すぐ立ち上がる”
などなどお子さんの行動についての相談事など様々あります。
その中で最も栄養に関連深いことは、
”体重が増えない、身長が伸びない”
ということだと思います。
私の方では、
成長曲線をもとにして
体重が減ってしまっている場合や、3ヶ月以上増えていない場合は
まずは、小児科の先生への受診をお勧めしたり、
市の検診時に、どのようなアドバイスを受けたかを伺っています。
医師により、心配いらない、様子をみましょうという診断があった上で
背長を促せるように、母乳やミルク、離乳食での対応を考えていきます。
体重だけでなく、身長も確認します。
体重は短期的な栄養の反映で、
身長は長期的な栄養の反映と言われています。
ですから、身長は体重に比べて慢性的な栄養摂取の情報源ともなりうるということです。
私は、栄養相談で
まず、そのお子さんに見合ったエネルギー必要量を摂取できているかを確認します。
(成長曲線の角度で順調に成長できていれば、おおよそ必要量が摂取できていると考えます。)
そのために栄養士は、必要量の算定方法を知っておく必要があり、
1歳未満の計算方法(2020年版)は以下のとおりです。
(母乳の場合)推定必要エネルギー量
=総エネルギー消費量( 92.8×基準体重-152 )+エネルギー蓄積量
(人工栄養の場合:FAO/WHO/UNU) 推定必要エネルギー量
=総エネルギー消費量( 82.6×基準体重-29 )+エネルギー蓄積量
ですがこれ、私は暗記できないし時間がかかります。
実際の医療現場では、簡易的に
100~120Kcal / kg / day
を用いたりもするそうです。
しかしこの簡易式は、ざっくり確認するにはとても便利ですが、
生後半年を過ぎるとだいぶ誤差が出てきてしまいます。
ですので現場で咄嗟に対応が必要な時に備えて
月齢ごとの平均体重から、
目安となる必要エネルギーの表などを作成しておくことをお勧めします。
さて、実際にお子さんが摂取しているエネルギーを計算する時、
育児用ミルクや市販のベビーフードであればカロリーの目安はつきやすいですが、
母乳や自宅調理のものはそれが難しくなります。
そんな時は
食べているものの写真を見せていただいたり、
可能であれば、保護者の方に食品の重さの計量を
依頼してみると良いと思います(特にお粥やタンパク質)。とても参考になります。
計算法の手段として、私は
女子栄養大学出版部の栄養Proの有料ソフトを利用しています。⇩
https://eiyo21.com/eiyo_pro_cloud
その他、視覚的には
大阪母子医療センターの
『心と体の成長・発達に良い食事』を参考にさせていただいています。
食事の適量がわからないといったご相談の時には、
患者さんと一緒にページを開くこともあります。⇩

結果的に、そのお子さんが必要エネルギーを満たしてなかった場合の対応策は、
月齢や状況を考慮した、個人的な提案が必要となります。
例としては
・母乳だけで必要エネルギー等が不足する場合には育児用ミルクを取り入れる。
・必要量を設定する場合は、目標体重を考慮したり、現体重よりも10%アップしたりする。
・アレルギーがあれば他の食品からの栄養摂取法を提案する。
などです。
しかし、私が何度も反省してきたことは、あまり細かい情報や提案は保護者の方の不安を煽りかねず、
数字はあくまでも参考にということです。
保護者の方の話を伺い、しっかりとしたアセスメントと調整が大切で
私は、栄養相談で提案する内容が、保護者の方やお子さんにとって
今はそのタイミングなのか?
をよく考えるようになりました。
最近特に思うことですが、
栄養相談の目指すところは、数字などを使いつつも
親子の皆さんに
安心して帰っていただき、
ご家庭で安心な食卓を囲んでいただけることだと感じています。