こんにちは。管理栄養士のカワベヨシミです。
本日もお越しくださりありがとうございます。
今日は、歯科に勤める管理栄養士だからこその
『噛む機能』に注目してきたことを綴っていきたいと思います。
よく噛んで食べることは、全身を活性化させるといわれます。
日本咀嚼学会では、噛むことの効用として
『卑弥呼の歯がいーぜ』
という標語を作っています。
ひ・・・肥満防止
み・・・味覚の発達
こ・・・言葉の発音がしっかり
の・・・脳の発達
は・・・歯の病気予防
が・・・癌の予防
い・・・胃腸の働きを促進
ぜ・・・全身の体力向上
最近は、小学生中学年のお子さんでも
「薄いしゃぶしゃぶ肉が噛めない」と、ご相談を受けることがあります。
小学生は、歯の生え替わりの時期と重なるため
一時的にはそういった食べにくい時期があるかもしれませんが、
噛む力はどうやって育っていくのかを遡ってみると、
歯が生え揃っていない乳児期・離乳期に辿り着きます。
(実際は、胎児の時期の経験も関係が深いのではともいわれています。)
この時期の舌の運動が、噛むことのスタートであり、
重要なタイミングだといえます。
厚生労働省の離乳の支援ガイドにも、離乳中期の欄に
舌と上顎で潰すことができるようになる
と記載されていますが、これは舌が上下に動けるようになるということです。
そしてその後、舌は左右に動き始め、
奥歯の生えてくる場所に食べ物を動かし、歯茎で潰せるようになっていきます。
噛むことの土台として、最初にこのような舌の運動が必要です。
では、この舌の運動は何によって育つのかというと
それは「ズリバイ」「ハイハイ」や「歩く」「走る」といった
体の中心軸を保った回旋運動です。
噛むことを促すために注目したいのは、身体なのですね。
もちろん離乳食期は、食形態に留意しながらお口の動きを促すことも必要ですが
最も重要視して整えてあげたいことは、安全な身体を動かすスペースと時間です。
赤ちゃんは育つ力を持っています。
広い野原でハイハイしたり、少しの段差を登ったり降りたりする運動は
素晴らしい回旋運動になります。
たっぷり経験させてあげたいですね。
気をつけたいことは、
動くことを制限してしまうことです。
泣くことにも、動くことにも赤ちゃんの行動には全て意味があります。
8年間歯科で働き、赤ちゃんのお口と向き合って、他職種の仲間たちと行き着いたことは、
『見守る』です。
さまざまな子育て便利グッズは、
赤ちゃんの『動きたい』を制限してしまう可能性があるかもしれませんね。